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僕が吉松さんを初めて知ったのは1990年にイギリスに留学した年の冬だった。日本から持ってきてた日本の現代音楽集のCDの中に吉松さんの「朱鷺によせる哀歌」が入っていて、それを初めて聴いたときその美しさに思わず涙した・・・。
1993年にロンドンのプロムスにデヴューしたときイギリス大手のCD会社CHANDOSの社長さんが何でも好きなCDを作ってくれると約束してくれて、僕は迷わず吉松さんを選んだ。このときイギリスでは吉松さんは無名だったし、周りから「悲愴」か「春の祭典」の方が良いと散々言われたけど僕は絶対YOSHIMATSUと言い張った。
このときははまだ吉松さんが偶然にも僕の高校、大学の慶応の先輩だと知らなかったし、僕の大好きなシベリウスが吉松さんにとって神様のような存在だとも知らなかった。
国際電話で初めて吉松さんと話をしたとき、吉松さんはただの留学生がイギリスで学生オケかなんかでカセットに録音する程度と思ってたらしく「出来たら送ってね」とそっけなかったが後日マネージャーさんがちゃんと説明してくれて、録音の時にはマンチェスターに来てくれた。オケは僕が副指揮者をしていたBBCフィルで交響曲2番、ギター協奏曲、「朱鷺によせる哀歌」を録音した。このときは2人とも海外の一流レーヴェルに録音できてそれだけで嬉しかった。
セッションが無事終わったあと、中華街の怪しい日本食のレストランで(アルバイトでウェイトレスをしてた僕のかみさんを除いて日本人が誰も働いていない)閉店まで祝杯をあげてたのをよく覚えてる。
このときの2人の会話は、「本当にできるのかなぁ」「アジアの作品全集みたいなやつの1枚だったりして」「ジャケットが大仏とかだったらどうする?」「芸者よりマシじゃない?」「富士山は絶対やだなぁ・・」みたいな会話をしてた。