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『急遽、菅野よう子サイン会を開催。 サイン… : ついっぷるフォト』
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Q1. 以前、菅野さんへのインタビュー記事の中で、ジャズがお好きではないというお答えを拝見しました。
その菅野さんが王道のジャズ漫画である「坂道のアポロン」の音楽を担当された経緯について、簡単にお聞かせください。
ジャズは、表現された音そのものよりも、プレイヤーの生き様、たたずまいが問われているらしいということは、今回松永、石若さんのプレイを見ていて、少し感じました。が、今でもジャズは何を楽しめばいいのかよくわかりません。
ジャズ漫画ではあるけれど、ジャズの歴史や素晴らしさを訴える作品ではなく、人間を描いた作品だと思っています。
渡辺監督で、素材に音楽がある作品と聞けば、ジャンルは何であっても私自身がそれを見たいと思います。
Q2. 監督の渡辺信一郎さんとは「COWBOY BEBOP」以来のタッグとなります。
「COWBOY BEBOP」ではOP曲「Tank!」などビッグバンド・ジャズのアレンジが印象的でした。
今回は原作がスタンダード・ジャズが中心のお話ですが、監督からは楽曲に対して具体的なリクエストはあったのでしょうか?
原作を大事にしたいと聞いています。原作にあるスタンダードは基本的にそのまま、当初は私はその部分にはタッチしない予定でした。いくつかのシーンで絵に合わせなければいけないので多少アドバイスはしましたが、スタンダードに関してはミュージシャンに自由にやってもらっています。
監督からは、まとめない、未整理のままで、と。
Q3. JAZZ嫌い(?)な菅野さんに質問です。
敢えて「JAZZ嫌いな菅野よう子がおすすめするジャズ名盤」を選ぶならどの作品ですか?
ごめんなさい、ほんとに全然わからない、持ってないし。
Q4. 逆に、普段JAZZしか聴かないリスナーに聴かせたい、菅野さん作品1枚を教えてください。
ジャズ好きな人に聴かせたい私の作品ですか?うーん、、、、
私は職人です。もし「ジャズしか聴かないリスナーに届ける」という目標があれば、そういうものを作ると思いますが、今までそういう前提で作ったことがないので、つまりそういう作品が存在する気がしません。
作曲するにあたって心がけたこと。それは自分を出来る限り消し、音楽が、パフォーマーや聴く人の気持ちを載せることのできる透明な器であるようにする、ということでした。
そのためには、私自身が子供のようにのびのびと健やかである必要がありました。チャリティーである意味や、聴く人を傷つけない心遣いさえ一度忘れ、滝に打たれこそしませんでしたが、1週間ほどかけて音楽家としての下心や技巧を落としてゆきました。そして1月のある晴れた午前中、「いま、生まれていいよ」と岩井監督からいただいた詩に導かれるままに、私の中にいた4歳の自分が一気に作りました。そんなふうに作品に取り組める経験は、とても豊かなものでした。歌の録音では、もしも天国があるならばそこにいる人に、「わたしはこんなふうに元気でやってます」と伝わるようなテイクを選ばせていただきました。少しずつ、あなたの傷が癒えますように。
100年経って、なんのために、あるいはどんなきっかけで出来た曲か忘れられて、詠み人知らずで残る曲になるといいなあと願っています。
菅野よう子さんからのコメント
渡辺監督で、青春で、ジャズ。こういう作品を、私が、一番待っていました。
原作から聴こえる音を演奏してくれる若き天才ミュージシャン達の、生命の鼓動を、ぜひ聴いてください。菅野よう子
--また、今後コンサートなどの予定は?
菅野よう子:やりたいんですけど、私、異常にお金がかかるんですよ(笑)。去年、韓国で演った時も、蓋を開けてみたら大変なことになってて、普通のコンサートの正しい予算の3~4倍は当たり前、みたいな感じ(笑)。
韓国の時はフルオーケストラを隠しておいて、回り舞台で登場するの! そんなことする人、誰もいないし、オーケストラの人も「初めて回った」って(笑)。しかもそのお盆に100人も乗せて回したことないっていうから、前日にテストしてみたら出てくるまでに時間がかかり過ぎたんで、譜面書き直したりとか。
--そっちを変えるんですね!(笑)
菅野よう子:しかもどうしてもその時、影絵もやりたかったんですよ、ピアノを弾きながら指でキツネさんとかをぴょこって。だけどその影絵をどうやってスクリーンに映すか、が大問題になって(笑)。
ちょっと考えて頂くと分かると思うんですけど、ピアノって両サイドが出っ張ってるから、鍵盤を弾く手を照らす光源と、その影を映し出すスクリーンとの関係が非常に難しいんですよ。私はただキツネさんをやりたいだけだったのに、本当に色んなことを試して、シミュレーションするためにわざわざ日本でホール借りて(笑)。
--途中で諦めなかったんですか?(笑)
菅野よう子:思わない! だってやりたかったんだもん。
--それが素晴らしいです!
菅野よう子:だって見たくないですか? 真面目にピアノ弾いてると思ったらキツネさんが出てくるなんて、面白いじゃないですか。Wアンコールの時だったかな、ピアノが前に出てお客さんにも「さよなら」ってしんみりした感じになって、最後にピンポコピンポコ♪ なんてキツネさんが出てきて大爆笑(笑)。その後、韓国語のメッセージが書かれたボードを弾きながら出していって、最後にバイバイって終わったんです。
--因みに、『CMようこ』は次回作の構想などもあるんでしょうか?
菅野よう子:1枚目がジェリービーンズみたいに甘ったるくて可愛くて、キラキラしたポジティブなもの。2枚目はおつむが良いことを楽しめるような内容にしたくて、例えるとビタミン剤。やっぱり色はカラフルだしずっと飲んでると身体に悪いんだけど(笑)、その瞬間だけは「元気になった!」みたいな。
で、3枚目は市場に出回っている大量商品とは違って、ちょっと下手っぴに作ってある限定品というか。決して売れはしないけれども気になる、手作りっぽいものにしたいなって。身体に悪いもの3部作(笑)。
--でも菅野さんは作詞をされることもありますよね?
菅野よう子:昔、小説を書きたくて一生懸命書いてた時があったんですけど、辞めちゃったんです。他にいっぱい才能のある人がいるのを見て、「私がやることないんだ」と完全に筆を折った。だから、言葉は好きなんですけど非常に勇気がいるんです。
でも、今まで色んな作詞家の方にこうしろああしろと言いまくってて、しまいには「このように書け!」とかやってたら(笑)、プロデューサーに怒られて。「そんなことしたら作詞家が育たない。任せるか自分で書くかにしろ」って言われて、「そりゃそうだな…」と。
--ただ、『CMようこ』では初めてジャケットに菅野さん自身が登場した作品でもあるんですよね?
菅野よう子:恥ずかしいし絶対に人前に出たくなかったんですけど、ここまで長くやってくると、もはや自分を遊んでしまおう、という気に……。丸くなりましたね(笑)。
コンサートは好きなんですけど、テレビとか苦手なんですよねぇ。だって言葉で表現でき難いから音楽やってるのに、顔と言葉で何か言えっていわれても困るじゃないですか!? 「凄い苦手なことやれ!」って言われてるみたいで……。大体、スタジオでも「何言ってるのか分からない」って言われてるのに(笑)。
--そういえば『CMようこ』の中には4分を超える楽曲もありますよね? それって良くあることなんですか?
菅野よう子:ありますね、私は特にそうです。ロシアのマトリョーシカ(入れ子人形)みたいに、細部に大きいものが宿るというか、フラクタルというか。15秒を切り取ろうが4分になろうがやりたい世界は一緒なんですよ。だから15秒で収めている楽曲でも、本当はもっと大きい世界がある場合もあるし、時間とお金が許せばちゃんと作りたいって欲望はありますね。
--アニメや映画では楽曲の一部分を監督が切り取って使う訳ですよね。その中で「そこじゃねえよ!」って思うこともある?
菅野よう子:あります!(即答)
(一同爆笑)
--そういう時って「ぅあ゛~!」って思います?
菅野よう子:思ったら言います! で、怖がられます(笑)。私、MA(音楽編集)の現場に良く行くんですけど、私が行くとみんな戦々恐々としちゃって。部屋に入った途端に「ごめんなさい!」と最初に謝られる。「本当はコッチだろうなと思ったんですけど、ココ使っちゃいました」とか(笑)。
まあ最近は思わないんですけど、最初の頃は「どうしてこういう使い方すんの!?」って本気で思って、試写会の時にスタッフが全員集まってる中でもの凄い色々言いまくって(笑)。
(一同笑)
菅野よう子:そしたらその内、「自分でやれば?」みたいになって、色々言えるようになりました(笑)。でもそうなるのに5年から10年はかかりましたね。
アニメの文化って脈々と受け継がれたものがあるじゃないですか。アレが許せん!みたいな感じだったんですけど、今思えばそれがお決まりというか、安心できるお約束だったんだなって。
--菅野さんは曲作りをしている時がピークなんですよね?
菅野よう子:作っている時は頭の中がドリームでいっぱいになるんですよ。ぽんっと世界が表れて、こんな音でああしてこうして……、頭の中で流れている音楽は「何て素敵なんだあ!」って(笑)。子供の頃から頭の中で鳴っている音楽で踊ったりしていたので、想像で満足しちゃって譜面に書いてる内に飽きてきちゃう、「な~んか違うな、これぇ……」って。
(一同笑)
菅野よう子:もちろん思っていたより良くなることもありますけど、やっぱりドリームの方が大きいんですよね。今まで何十年もやってきて、一生懸命言葉で伝えようとしてもなかなか分かってもらえず、少しずつやってきてる感じですね。
--菅野さんはジャズがそれほど好きではないと伺いましたが、その人がどうして『Tank!』をはじめとする、「カウボーイビバップ」(※3)のサントラを作れたのか、本当に不思議です。
菅野よう子:私の非常に少ない情報の中でのジャズっていうのは、みんながず~っと同じことを繰り返してて長い! どこ聴いて良いのか分からない!(笑) 監督の渡辺信一郎さん(※4)にジャズの良さを聞いてみると、その人なりにあるんですよね、「人生が……」とか「新しい人間性が……」とか。多分凄いものがあるに違いないんですけど、でも全然分からない! 絶対無理!(笑)
で、自分で面白いと思えるフォーマットを作成したらあんな感じに。あの時、私は演奏者が楽しんで弾ける曲にしようと思ってましたね。