1. 鈴木 僕は団塊の世代で大学闘争の世代ですよ。押井さんは、そのころ高校生。大学生が大規模デモを組織するのを社会は許したが、高校生は許されない。その差は決定的だと押井さんが言ったんです。その恨みをずうっと抱き続けてるんだよねえ。
     
  2. ――初めてOSSコミュニティに参加する場合、コミュニティに馴染むのも一苦労ではないかと思います。その点で、小崎さんは何か工夫したことはありますか?

    小崎 : 私の場合、「他人の開発作業をサポートして恩を売る」という作戦をとっています(笑)。具体的な作業としては、コードレビューをすることが多いですね。

    例えば、Linuxの開発コミュニティでは、コミッターにもなると1日に1000通ものメールに目を通さなければなりません。大変忙しいので、名前も知らない開発者からいきなりソースコードが送られてきても検証する時間がないんです。そのまま何の反応も得られず、寂しい想いをして離れていく開発者も少なくありません。

    だだし、コミッターも決して意図的に冷たくしているわけではないので、品質に問題がなく、有益なものであることが確認できれば本体にマージしてもよいと考えています。そこで、だれにも触れられずに放置されているソースコードを見つけて、第三者の立場からレビューしてあげるんです。コミッターからすると、例えレビュアーが知らない人であったとしても、何人分か意見が集まれば気にせずにはいられません。ある程度、中身が保証されていることになるので、確認時間も短縮でき、採用しやすくなります。

    こうして、コミッターとソースコード送信者の双方に対して恩を売り、コミュニケーションをとりやすくしていました。

    そのほか、実際に参加して思うのは、何をするにしても相手をリスペクトするということが大切ですね。もちろん自分に自信を持つことも必要ですが、相手を敬わなくては何をするにしてもうまくいきません。自分の意見や価値観を押し付けるのではなく、一緒に作業をするパートナーという感覚を持ってほしいです。

     
  3. ――OSSコミュニティは直接お金に結びつくわけではないので、素人考えでは、モチベーションの維持が難しいのではないかと思ってしまうのですが、小崎さんはそのあたりをどうお感じですか。

    小崎 : 私もそうですが、OSSコミュニティで活躍している開発者の多くは、プログラミングが好きだから参加しているだけだと思います。なので、お金にならないからモチベーションが落ちるという状況は少ないのではないでしょうか。

    プログラミングは結構な重労働なので、正直、好きじゃないと続けられないと思うんです。プログラミング作業がはかどらなくなったときに自分の状況を振り返って、「時間があるのにやらない」という状態になっていた場合は問題です。これは、おそらく「プログラミングが嫌」という状況なのでしょう。「しがらみなどが原因で作業時間が確保できない」というのであれば、環境を変えるなど、対策はいくらでもとれると思いますが、単純に嫌いなのであれば解決策はほぼないと言えます。これはOSSに限らず言えることではないでしょうか。

     

  4. Q1. 以前、菅野さんへのインタビュー記事の中で、ジャズがお好きではないというお答えを拝見しました。

    その菅野さんが王道のジャズ漫画である「坂道のアポロン」の音楽を担当された経緯について、簡単にお聞かせください。

    ジャズは、表現された音そのものよりも、プレイヤーの生き様、たたずまいが問われているらしいということは、今回松永、石若さんのプレイを見ていて、少し感じました。が、今でもジャズは何を楽しめばいいのかよくわかりません。

    ジャズ漫画ではあるけれど、ジャズの歴史や素晴らしさを訴える作品ではなく、人間を描いた作品だと思っています。

    渡辺監督で、素材に音楽がある作品と聞けば、ジャンルは何であっても私自身がそれを見たいと思います。


    Q2. 監督の渡辺信一郎さんとは「COWBOY BEBOP」以来のタッグとなります。
    「COWBOY BEBOP」ではOP曲「Tank!」などビッグバンド・ジャズのアレンジが印象的でした。
    今回は原作がスタンダード・ジャズが中心のお話ですが、監督からは楽曲に対して具体的なリクエストはあったのでしょうか?


    原作を大事にしたいと聞いています。原作にあるスタンダードは基本的にそのまま、当初は私はその部分にはタッチしない予定でした。いくつかのシーンで絵に合わせなければいけないので多少アドバイスはしましたが、スタンダードに関してはミュージシャンに自由にやってもらっています。
    監督からは、まとめない、未整理のままで、と。


    Q3. JAZZ嫌い(?)な菅野さんに質問です。
    敢えて「JAZZ嫌いな菅野よう子がおすすめするジャズ名盤」を選ぶならどの作品ですか?


    ごめんなさい、ほんとに全然わからない、持ってないし。


    Q4. 逆に、普段JAZZしか聴かないリスナーに聴かせたい、菅野さん作品1枚を教えてください。

    ジャズ好きな人に聴かせたい私の作品ですか?うーん、、、、
    私は職人です。もし「ジャズしか聴かないリスナーに届ける」という目標があれば、そういうものを作ると思いますが、今までそういう前提で作ったことがないので、つまりそういう作品が存在する気がしません。
     
  5. --また、今後コンサートなどの予定は?

    菅野よう子:やりたいんですけど、私、異常にお金がかかるんですよ(笑)。去年、韓国で演った時も、蓋を開けてみたら大変なことになってて、普通のコンサートの正しい予算の3~4倍は当たり前、みたいな感じ(笑)。
    韓国の時はフルオーケストラを隠しておいて、回り舞台で登場するの! そんなことする人、誰もいないし、オーケストラの人も「初めて回った」って(笑)。しかもそのお盆に100人も乗せて回したことないっていうから、前日にテストしてみたら出てくるまでに時間がかかり過ぎたんで、譜面書き直したりとか。

    --そっちを変えるんですね!(笑)

    菅野よう子:しかもどうしてもその時、影絵もやりたかったんですよ、ピアノを弾きながら指でキツネさんとかをぴょこって。だけどその影絵をどうやってスクリーンに映すか、が大問題になって(笑)。
    ちょっと考えて頂くと分かると思うんですけど、ピアノって両サイドが出っ張ってるから、鍵盤を弾く手を照らす光源と、その影を映し出すスクリーンとの関係が非常に難しいんですよ。私はただキツネさんをやりたいだけだったのに、本当に色んなことを試して、シミュレーションするためにわざわざ日本でホール借りて(笑)。

    --途中で諦めなかったんですか?(笑)

    菅野よう子:思わない! だってやりたかったんだもん。

    --それが素晴らしいです!

    菅野よう子:だって見たくないですか? 真面目にピアノ弾いてると思ったらキツネさんが出てくるなんて、面白いじゃないですか。Wアンコールの時だったかな、ピアノが前に出てお客さんにも「さよなら」ってしんみりした感じになって、最後にピンポコピンポコ♪ なんてキツネさんが出てきて大爆笑(笑)。その後、韓国語のメッセージが書かれたボードを弾きながら出していって、最後にバイバイって終わったんです。
     
  6. --因みに、『CMようこ』は次回作の構想などもあるんでしょうか?

    菅野よう子:1枚目がジェリービーンズみたいに甘ったるくて可愛くて、キラキラしたポジティブなもの。2枚目はおつむが良いことを楽しめるような内容にしたくて、例えるとビタミン剤。やっぱり色はカラフルだしずっと飲んでると身体に悪いんだけど(笑)、その瞬間だけは「元気になった!」みたいな。
    で、3枚目は市場に出回っている大量商品とは違って、ちょっと下手っぴに作ってある限定品というか。決して売れはしないけれども気になる、手作りっぽいものにしたいなって。身体に悪いもの3部作(笑)。
     
  7. --でも菅野さんは作詞をされることもありますよね?

    菅野よう子:昔、小説を書きたくて一生懸命書いてた時があったんですけど、辞めちゃったんです。他にいっぱい才能のある人がいるのを見て、「私がやることないんだ」と完全に筆を折った。だから、言葉は好きなんですけど非常に勇気がいるんです。
    でも、今まで色んな作詞家の方にこうしろああしろと言いまくってて、しまいには「このように書け!」とかやってたら(笑)、プロデューサーに怒られて。「そんなことしたら作詞家が育たない。任せるか自分で書くかにしろ」って言われて、「そりゃそうだな…」と。
     
  8. --ただ、『CMようこ』では初めてジャケットに菅野さん自身が登場した作品でもあるんですよね?

    菅野よう子:恥ずかしいし絶対に人前に出たくなかったんですけど、ここまで長くやってくると、もはや自分を遊んでしまおう、という気に……。丸くなりましたね(笑)。
    コンサートは好きなんですけど、テレビとか苦手なんですよねぇ。だって言葉で表現でき難いから音楽やってるのに、顔と言葉で何か言えっていわれても困るじゃないですか!? 「凄い苦手なことやれ!」って言われてるみたいで……。大体、スタジオでも「何言ってるのか分からない」って言われてるのに(笑)。
     
  9. --そういえば『CMようこ』の中には4分を超える楽曲もありますよね? それって良くあることなんですか?

    菅野よう子:ありますね、私は特にそうです。ロシアのマトリョーシカ(入れ子人形)みたいに、細部に大きいものが宿るというか、フラクタルというか。15秒を切り取ろうが4分になろうがやりたい世界は一緒なんですよ。だから15秒で収めている楽曲でも、本当はもっと大きい世界がある場合もあるし、時間とお金が許せばちゃんと作りたいって欲望はありますね。

    --アニメや映画では楽曲の一部分を監督が切り取って使う訳ですよね。その中で「そこじゃねえよ!」って思うこともある?

    菅野よう子:あります!(即答)

    (一同爆笑)

    --そういう時って「ぅあ゛~!」って思います?

    菅野よう子:思ったら言います! で、怖がられます(笑)。私、MA(音楽編集)の現場に良く行くんですけど、私が行くとみんな戦々恐々としちゃって。部屋に入った途端に「ごめんなさい!」と最初に謝られる。「本当はコッチだろうなと思ったんですけど、ココ使っちゃいました」とか(笑)。
    まあ最近は思わないんですけど、最初の頃は「どうしてこういう使い方すんの!?」って本気で思って、試写会の時にスタッフが全員集まってる中でもの凄い色々言いまくって(笑)。

    (一同笑)

    菅野よう子:そしたらその内、「自分でやれば?」みたいになって、色々言えるようになりました(笑)。でもそうなるのに5年から10年はかかりましたね。
    アニメの文化って脈々と受け継がれたものがあるじゃないですか。アレが許せん!みたいな感じだったんですけど、今思えばそれがお決まりというか、安心できるお約束だったんだなって。
     
  10. --菅野さんは曲作りをしている時がピークなんですよね?

    菅野よう子:作っている時は頭の中がドリームでいっぱいになるんですよ。ぽんっと世界が表れて、こんな音でああしてこうして……、頭の中で流れている音楽は「何て素敵なんだあ!」って(笑)。子供の頃から頭の中で鳴っている音楽で踊ったりしていたので、想像で満足しちゃって譜面に書いてる内に飽きてきちゃう、「な~んか違うな、これぇ……」って。

    (一同笑)

    菅野よう子:もちろん思っていたより良くなることもありますけど、やっぱりドリームの方が大きいんですよね。今まで何十年もやってきて、一生懸命言葉で伝えようとしてもなかなか分かってもらえず、少しずつやってきてる感じですね。
     
  11. 01:43

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    Tags: 菅野よう子interview

    --菅野さんはジャズがそれほど好きではないと伺いましたが、その人がどうして『Tank!』をはじめとする、「カウボーイビバップ」(※3)のサントラを作れたのか、本当に不思議です。

    菅野よう子:私の非常に少ない情報の中でのジャズっていうのは、みんながず~っと同じことを繰り返してて長い! どこ聴いて良いのか分からない!(笑) 監督の渡辺信一郎さん(※4)にジャズの良さを聞いてみると、その人なりにあるんですよね、「人生が……」とか「新しい人間性が……」とか。多分凄いものがあるに違いないんですけど、でも全然分からない! 絶対無理!(笑)

    で、自分で面白いと思えるフォーマットを作成したらあんな感じに。あの時、私は演奏者が楽しんで弾ける曲にしようと思ってましたね。
     
  12.   --そして今年の5月にはアルバム『CMようこ』を発売しましたが、配信で大ヒットとなり、満を持してのCD発売となりました。選曲は菅野さんが手がけていますが、その選定は?

    菅野よう子:広告の良いところを出せた楽曲を集めようと。私にとってコマーシャル音楽って、見捨てられ聴き捨てられ、どんどん古くなっていく前提。その時だけのインスタントな味わいを追求するもの。

    CDにしちゃうと、インスタントなその気持ちとは裏腹に、何回も聴かれることに耐えなくてはいけない。「インパクトが強いだけでうるさくなっちゃうかな?」などと思ってあんまり出したくなかったんですよ。だけどたまたまバイオリズムが合ったところもあって(笑)、消費されていくものの軽さ、可愛さとか、そういうものを表現できればいいなって思いますね。

    --『CMようこ』は全体を通してポップでカラフルな作品になりましたよね。

    菅野よう子:身体に悪い感じにしようと(笑)。どぎつくてうるさくて、ジェリービーンズみたいに攻撃的に甘かったりして毎日は食べたくない。けど気分転換にちょっといいかな、みたいな。
     


  13. ―ソロ・コンサートマスターとして、今までいくつものソロを弾いて来られたと思いますが、オーケストラで弾いていて一番弾くのに大変だった曲は何ですか?



    そうですね…一概には言えませんが、大野さん指揮のオペラコンチェルタンテシリーズで演奏した、リヒャルト・シュトラウスの歌劇「影のない女」ですね。あれは本当に難しかったです…(苦笑)真っ黒な音楽なんですが、音楽自体はとっても透明で、技巧的で、ごまかしがきかなくて(笑)、アンサンブルも難しくて…。4,5日練習しましたけど、青くなりながら弾きました。本当にやばいと思いました(笑)





    ―本番はうまくいきましたか?



    いや、もう無我夢中でしたよ(爆笑)・・・あとソロでは難しいというか精神的にとても嫌なのは今も昔もショスタコーヴィチの5番のシンフォニ-の第二楽章ですね!難しそうに聞こえないからこそ無茶苦茶プレッシャ-なんです。

     
  14. ―失敗談はありますか?



    痛恨の失敗談がありまして…(苦笑)
    コンサートホールではなく、とあるスタジオでコンサートがあったとき、演奏中に弦を切ってしまったんですね。お客さんもいる中で急いで楽屋に戻って、弦を交換しに行ったのです。ところが、そのスタジオの楽屋が、エレベーターに乗って上に行かなければならなかった。スタジオは吹き抜けになっていて、演奏中は上の階の照明を落とさないと演奏会にならないのです。まあそんな状況でしたので、楽屋のある階に着いてエレベーターのドアが開いたら、目の前が真っ暗なんですよ。手探りで楽屋を探し、代えの弦を探り当てて、やった!って思った瞬間、段差に躓いて倒れてしまったんですよね。ガタンッと大きな音がして、「楽器が壊れた…!」って思いが頭をよぎり、ようやく係の人が明かりを点けに来てくれたんですけど、楽器を見てみたらなんともなっていない。ホッとしたのも束の間、弓を見たら真ん中から見事に半分に折れていて…。真っ青になりましたね…。自分と楽器は大丈夫で、弓が身代わりになってくれたんですけど…。
    弓はもう1本用意していたので、とりあえず弦を付け替えて、演奏に戻ったのですが、ショックがでかすぎて…真っ青になっている顔を隠しながら演奏したのが一番の失敗談ですね。あれは…本当に痛かったです…。弓は、一度折ったら価値はゼロになり、切断面がスパっと切れていたら、直る可能性もあるのですが、僕のはねじれるように折れていたので、未だに直らないまま楽器屋で眠っています…。痛かった…。




    ―あの…その弓は、何が買えるくらいの値段ですか?



    外車の中古くらいは…




    ―(絶句…)それは痛恨の出来事ですね…。


     
  15. SJ 攻殻機動隊/STAND ALONE COMPLEXを以前,深夜放送でみていて(2004年),オープニングのに感銘を受けました。ちょうどTOKUさんにシャンティさんという凄い才能をもつシンガー/作詞・作曲家がいるとお聞きした頃でした。クレジットをよくみると,作詞にシャンティ・スナイダーさんのお名前が。しかし,歌はイラリア・グラツィアーノでした。この歌をシャンティさんに歌って頂きたいと,前から思っていたのですが。
    SHANTI この曲の作曲家である菅野よう子さんは,シャンティには特別な曲しか歌ってほしくないと確かおっしゃっていました。詞に関しては可能性を感じてくれているようです。私も,攻殻機動隊の曲で一度書いた曲を書き直して,って言われたことがあるんです。もっとできるでしょ,って。作詞家として必要とされているっていうことが嬉しかったんです。
     だから自分が書いた曲を自分で歌わなきゃいけないとも思っていません。ソングライターとして他の人が歌えるものをつくるということは完成度の高さが求められるので…。特に理由は分かりません。この曲はこの人がぜったい歌うと彼女は求めているイメージがはっきりしているんで,この曲はシャンティ向きじゃなかったんですね。